『Nouveau réalisme』はパリの駅ナカの混沌に蘇る


一瞬、僕の他には、後ろに聳え立つ巨大なモデルだけになる時もある


向かいのホームに溢れかえった人々の肩越しには巨大な黒猫がいる


観光客、地元っ子、通勤客で混沌としたパリ地下鉄の駅


長い長い乗り換え通路の壁


ラッシュを行き交う人々の隙間から

フラッシュみたいに差し込まれる広告ポスター群と落書き


上映中の映画、展覧会、新商品告知、クリスマスセールなどなど


パリ地下鉄の風景を彩るポスター広告


そんなパリの駅ナカポスターは告知期間が過ぎると

新しい広告が次から次に上へ重ねて貼られていきます



そんな広告群の中でたまに見かけるのが剥がされたポスター

上から貼られては剥がされ

破られ、スクラッチされ、落書きされ

何層ものレイヤーになったポスターの残骸



並べられた文字は意味を失って

解放され色の塊へと変わっていく


図像の断片は別の何かに変換されて残骸から蘇る


↓2018年買付時に撮影の広告ポスター残骸


今年2022年6月に亡くなったパリの現代美術作家「Jacques Villegle」


1940年代、剥がれ重層化したポスターの残骸を引っぺがして持ち帰り

作品にすることを思いついた作家です (Raymond Hainsと共同で)


1960年代、イヴ・クラインを中心に作られたグループ「Nouveau réalisme」

Jacques Villegleもそのグループの一人


「Nouveau réalisme」

リアリティの中から生まれるイメージや

工業化社会が生み出す廃棄物、日常生活から出されるゴミ等をそのまま使用し

1960年代当時の「新しいリアリティ」の創造を試みる活動



Jacques Villegleは1959年の第1回パリビエンナーレに招待されたにも関わらず

他の出品作家から『彼は画家ではなーい!』と非難され

出展拒否を喰らったとか。。。ピュ●ーーン!


現在では、フランスの偉大な現代美術家であり「ストリートアートの父」の一人とも言われています

めでたしめでたし


↓こちらは2018年の買付途中に

たまたま見ることが出来たポンピドゥーでの「Cesar回顧展」



CesarもJacques Villegle、Raymond Hainsと同様「Nouveau réalisme」の一人



↓ルノー車のスクラップ圧縮彫刻


↓はJacques VillegleとRaymond Hainsの最初の作品(1949年制作)


Jacques Villegleが亡くなった今も

パリの地下鉄のホームや通路では

彼の作品になったであろうポスターを見ることが出来ます



Jacques Villegleはパリの混沌に何度も蘇る!

パリ観光の新しい楽しみ方!


gsrrb930 BROCANTE/古道具

gsrrb930 Dai Aoki 青木 大 2008年より、フランスを中心にヨーロッパのブロカント、アンティークの買い付け/販売を行っております 当HPにて、販売商品やコレクションをご紹介します